Lancia Prisma 1600

ランチア・プリズマ1600 キャブレター仕様

美しき小さなセダン80’s

 

ランチア・プリズマと聞いてピンとくる人などほとんどいないことはわかっています。
ランチアというメーカー自体、ようやく長き眠りから復活したばかりですからなおさらです。

このプリズマ。今では絶滅したに等しいセダンモデル。

80年代らしい、直線基調のキレのあるデザインですが、カクカクすると、どうしても子供っぽい感じというか、文字通り尖った見てくれになりがちなのですが、こいつはちょっとひと味違います。

このころ、つまり80年代中期のランチアのラインナップは

最もラグジュアリーでサイズも大きいテーマ。
その下に位置する小型セダンがプリズマ。
より軽快でスポーティな2ボックスモデルのデルタ。

という三車種。ちなみにすべておなじみジウジアーロさん率いるイタルデザインの手によるものでした。

ラリーや耐久レースで活躍していた当時のランチアのイメージに加え、世界中で大人気となったイタリアンファッションブランドとのコラボなどもあり、このころのランチアには、訳知りの人々にはタマランクルマたちがひしめいておりました。

photo by Motorsport Images

 

デルタの弟分

さて、今回買い付けたプリズマですが、

80年に登場し、カー・オブ・ザ・イヤーも獲得した大人気デルタの弟分であり、エンジンや足まわりは共通で、外観的にはデルタのトランク付きモデルという位置づけ。ちょっとスポーティなデルタ兄ちゃんに対して、ものすごく勉強のできるおとなしめの弟といった位置づけになっておりました。

ただし、ランチアのセダンの流儀に則り、カジュアルというよりは、少し大人な佇まい。

内装は高級紳士服&生地で有名なエルメネジルド・ゼニアの特注ファブリックが奢られています。(1300/1500の下位グレードはややデルタっぽい、カジュアルなファブリックでした)

文字通り襟を正して乗り込みたくなるような、シックでシャープな出で立ち。
一方でコンパクトな佇まいがもたらす、得も言えない軽快さ。
走りもジェントルなのに軽快という、不思議な一台なのです。

そして、なによりイタリアのおしゃれピープル列伝を語るうえで、決して避けて通ることのできないレジェンド、元フィアット会長にして欧州社交界の伝説、ジャンニ・アニエリ氏もこのプリズマを街乗りとして使用していたというのも、プリズマがちょっとシビれる所以です。

©Gianni Agnelli

今を遡ること10年ほど前、彼の乗っていたプリズマが売りに出たことがありました。

買えない金額ではなかったのですが、当時すでにプリズマを持っていたこともあって、購入を見送ったのですが、今となっては大後悔。

一見普通のプリズマですが、グループの会長の乗っていたわけですから、当然ノーマルとは違う仕上げになっていましたから…。



Lancia Prisma ”Gianni Agnelli” by ABARTH
エンジンはアバルト製200HP。ナッパレザーで覆われたダッシュパネルにグレーのアルカンタラ素材のシート。ステアリングはアニエリ氏お気に入りの定番、Nardiのウッド。同氏がご逝去の後、売り出されたこのクルマは、アバルト社の名義になっていました...。
右はその実際の車両の内装写真。

それでは今回販売するプリズマについてようやくお話したいと思います。

最近弊社の流行りである、ワンオーナーカー。

親父が大切にしていたけど、息子への引き継ぎがうまくいかなかった案件です。

リアドアの内張りには新車時のビニールが残り、医者だった親父さんが大事に乗ってきた一台。自慢のゼニアのファブリックも極上の状態を保っています。もちろん天井も落ちていません。

冒頭の当時のカタログ写真にあるように、プリズマのテーマカラーだったシャンパンゴールドの塗装もオリジナルのまま。
シートベルトの色までブラウンで、さすがの洒落っ気を存分に味わえます。

日本にもプリズマは輸入されていましたが、黎明期のインジェクションにはちょこちょことしたトラブルが多く。未だに頭を悩ませていらっしゃるオーナーさんも多いようです。

今回の一台は唯一の弱点ともいえるインジェクションではなく、トラブルフリーのキャブレター仕様。

整備が簡単で、伝統のツインカムエンジンの味わいをいつでもどこでも気軽に堪能できる一台。(車重1t未満で105CV)


美しい内外装に、軽快な走り。そして、実はリアのトランクがあるおかげで兄弟車のデルタよりもしっとりとした粘りのあるコーナーリングを見せてくれるというおまけ付き(FFモデル比)。

 

ダラダラとうんちくを述べましたが、純粋にデザインで乗り倒してほしい、これぞイタリアというセダンです。
ホテルのバレーでも堂々とできるような格調の高さながら、実は全長は4180mm。
トヨタのプリウスで4600mmありますので、そのコンパクトさがわかります。
もちろん幅もせまく、5ナンバーという代物。

出しゃばらないけど、気になって仕方がない、ショーウインドウに映る姿におもわずニヤリとしてしまう。
ランチア・プリズマは、そんなクルマです。

 
Lancia Prisma 1600

排気量 1,585cc

馬力  105CV
車重  975kg

5速マニュアル

フルオリジナルペイント・ワンオーナー


Price- ASK
(お問い合わせはこちら↓)



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