限定らしい限定
限定版。リミテッド・エディション。
実に響きが良い…。
日本人はとりわけこの言葉に弱いと言われていますが、世界中どこでもみんな「限定」ってのが大好きです。
今回やってきたのはアルファ・ロメオ。
しかも人気のGTV。
その1968年の初期型で、さらにそいつの限定版。
アルファ・ロメオの四つ葉のクローバーといえば緑が相場ですが、こいつのは金。
イタリア語で金の四つ葉を意味する「クァドリフォリオ・オーロ」という名の一台です。
このクルマの限定たるゆえんはそのアバンギャルドな内装と、普通の1750GTVのペダルレイアウトとは異なる、ヒールアンドトゥがやりやすい低めのペダル位置が特徴。
アルファといえば赤のイメージが強いのですが、イタリアのイイ感じのオッサンがさりげなく乗る「シックなカラー」ってのは、まさにこういう感じです。
内外装の見事な色合いもさることながら、実にイタリアン・インテリアらしいシートは乗り心地も抜群。優しい色の外装と相まって、独特の存在感を醸し出しています。
今年で54歳にもかかわらず、機関部分の徹底的なメンテやペイントの補修ももちろんバッチリ。
特筆すべきは、やはりこの内装でしょう。なんと、68年からのオリジナルを保っていて、いかにこのクルマが大切に扱われてきたかがうかがい知れます。
前オーナーがこのクルマを購入したのは、47歳の時。
ちょっとお金ももっていて、実にイイ感じのオッサンだったことがうかがい知れます。
きっとコイツでミラノの街でブイブイ言わせていたのでしょう。
拍子抜けするほど静かに始動するエンジン。一旦アクセルを踏み込むと、モリモリと湧き上がるトルクと共に、野太いアルファサウンドを満喫できます。
それでもなぜか、あえてゆったりと流したくなるような、独特の雰囲気を持っているのもこのクルマの特徴かもしれません。
極めて大事に扱われてきた車両だけがもつ、独特の「しっかり感」に包まれた一台で。大げさではなく、掃除すら必要が無いほどの車両。
すでにオーナーの元に旅立っていきましたが、決して大げさで無く、イタリアでもそうは見かけることのできない「素敵な」一台でした。
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